認知症対策 『新たな国家プロジェクト』へ
6月14日に認知症基本法案が成立、一週間後に岸田総理より認知症対策を「新たな国家プロジェクト」にするという声明が発表されました。世界でいち早く、認知症国家計画を打ち出したのはフランスで、とりわけサルコジ政権下において、ケアの強化・研究の強化・連帯の強化の三本柱を立て、44の具体策から成る『プラン・アルツハイマー』(2008~2012)を策定、目標には「認知症に対するイメージの変更」や「国内全域へのメモリークリニックの設置」などを盛り込み、フランスの認知症政策は国民全体を巻き込みながら大きく前進しました。
岸田総理は「多様性や包摂性を大切にできる社会を実現していきたい」と述べ、さらに「認知症への対応は国をあげて先送りせず挑戦していくべき重要な課題」と発言されています。
7月にはエーザイとバイオジェン(米)の共同開発による新薬レカネマブが米国にて承認され、日本においても近日中に承認の見込み。新薬レカネマブは根治薬でないことや副作用の問題、高額検査費用等々乗り越えるべき課題は多くありますが、未来に向けた大きな一歩であることには違いありません。私たちは新薬の動向に期待しつつ、引き続き、認知症との共生社会を目指して「認知症になっても安心して暮らせる街づくり」に貢献して参りたいと思います。
株式会社ビアン 代表取締役 吉田洋之
写真は「プラン・アルツハイマー」総責任者のジョエル・メナール氏(現パリ大学名誉教授)『もえぎ便り』(第62号 9月10日発行)より